ギロロの初夢ある日、俺は目覚めたが動けなかった。 ん、なんだ?、身体の自由が利かない。古い戦傷でもぶり返したのか? やはり動けない。 このままオレの一生は終わるのか? ……それもまあいいか。戦場の露と消えると覚悟したこの命、平和な場所で、好きな女のすぐそばで消えるのもオツなものかもしれん。 欲を言えば、見取ってもらいたかったな……。 「ギロロー、ギロロー、いないのー?」 神だろうか、悪魔だろうか。オレの願いを聞き届けてくれたようだ。夏美がそこまで来ているようだ。 夏美、夏美~! 「バブ、バブ~」 な、何だこの声は? 「あ~っ、あんた何?またアレで撃たれたの?」 アレ?撃たれた? ジンセイガニドアレバガン 夢成長促進銃で撃たれたのか、バブ~ってことは赤ん坊にされたんだな。 クッソ~、戻れたら後でギタギタにしてやる 「ボケガエルにやられたのね。あんたまた侵略侵略ってアオったんでしょう。自業自得よ」 仕方ないではないか。ペコポン侵略はオレの任務だ。たとえ夏美、お前が被侵略者だとしても。 「しょうがないわねえ。よちよち、ママが助けてあげるからね~」 前はどうだったか覚えてないが、今回は意識がちゃんとあるぞ。俺を赤ん坊扱いするな夏美。 「でもあんた、普段がああなくせに、こうなるとめちゃくちゃ可愛いわね」 くっそ~戦士の恥だ。いっそ息の根を止めてくれぇ。 「なんていうか、母性本能刺激されるわ。ほおら、抱っこしてあげるからね~Y」 ゑ!? あっという間にオレは夏美の胸に抱きかかえられていた。 オレが小さくなった分、とても大きくそれでいてやわらかくて暖かいカタマリに顔が押し付けられる 夏美のおっぱい~~~ッ??!!! いつものように鼻血噴かなかったのは、赤ん坊にされていたせいだろう。 それでも思わず、手で夏美の胸を押しのけた。手で……押しのけ……ぽょん……オレは夏美の胸を揉んでる? 揉んでる~~~ぅ!!! 「あらあら、おいたしちゃだめよ」 おいたさせるな~~、谷間にはさむな~っ! 「むずがっちゃって、苦しい?」 やめてくれ夏美~っ、意識は大人なんだぞ~! 右の胸、左の胸と、オレを持ち替える夏美。地獄のような天国、いや天国のような地獄…… 俺の身体は耐え切れずに泣き出してしまった。 「あらあら~おなかでもへったんでちゅか~?」 違うわ!この嬉しくも強烈な桃色地獄から開放してくれ~ 「ミルクなんてないから、とりあえずアタシのおっぱいでも吸って紛らわす?」 え!? 夏美は着ていたセーターをたくし上げて、そのブラジャーに包まれた胸をあらわにした。 しかし俺の中の弱気がその寸前にまぶたを閉じさせた。と同時に身体が勝手に泣くのが止まる。 「あら、落ち着いたのね」 気配でセーターが下ろされるのがわかる。まぶたを開くと、そこにはまるで菩薩のような夏美の笑顔があった。 「さあ、ボケガエルをしばき倒してお仕置きするわよ」 ……菩薩でなく戦女神か…… 「いくわよちびギロちゃん」 そう言うや否や、オレの頬に口付けする夏美。オレは即座に気を失った。 ☆ 「……そこで目が覚めてな。というのがオレの初夢なのだ。恥ずかしくて誰にも言えんがな。な、ネコ」 「フギャ~ッ(いくじなし~っ!)」 「や、やめろ、ね、ネコ、何で怒る、何で引っかくぅ!」 (ナ)ギロロ伍長はネコちゃんが後ろに隠し持っていた、 オトナノカイダンノボルガン 新・夢成長促進銃にも、ギロロを赤ん坊にした真意にも気づきませんでしたとさ。 夏美ちゃんにボコボコにされたケロロ軍曹談 『我輩が何をしたって言うんでありますか~~っ』 |